くう、ねる、さけ
お題「ひとりの時間の過ごし方」
ひとりの時間かあ。
建前で言うと、家なら読書、書道。
外ならランニングだな。
でもほんとは酒だね。
深夜、家族が寝静まったころ。
ひとりリビングに忍び込む。
灯は最小限に抑えた薄暗い部屋。
冷蔵庫からよく冷えた獺祭を一合徳利にうつす。
小さな猪口に注ぐ。
飲み口は薄い方が良い。
ぼってりしたものは熱燗には良いが冷酒には少し野暮ったい。
表面張力まで注がれた獺祭を猪口を持たずに口を近づけて、クッとすするのが粋だ。
アルコール性急性膵炎を患い、3年間禁酒していたワタシにはこの一口一口が命を削って飲んでいるのと同じだ。
この瞬間に死を感じ、死を思うのだ。
なんとも大げさな話だが、
酒を飲むこととは自分に酔い痴れる事と見つけたり。
ツマミはせいぜいが板わさか鳥わさ。
又は味のり。
腹は満たしてはならない。
ここでテレビなんぞをつけては無粋である。
あくまで己とだけ向き合う。
音楽などはもってのほか。
そして酔ってきたならば、頭がキリッとした時は写経や写生なぞを始め、そうでなければ横になって寝る。
気分が悪くなるほど飲んではならない。
そこに修練が必要になる。
1,2時間うたた寝をしたら気持ち良く起きる。
それが最近の一人の過ごし方である。